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結合水として気体のまま吸湿‼

❍結合水と自由水

 空気中の水蒸気は10万分の4ミリというとても小さな粒子(空気中の窒素や酸素よりも小さい)なので、防湿シートなどで壁の中への進入を防ごうとしても不可能に近い状況なのです。 木材は含水率30%以上だと結合水と自由水が混在していて、含水率が下がるに連れて始めは自由水が減っていき、30%くらいになると結合水だけになり、それ以降はセルロース分子と気体の水分子が離れていきます。木材の繊維成分であるセルロースファイバー(CF)はこの結合水を含む能力がとても大きいということ(蓄湿容量が大きい)が特筆されるのです。

 CFの分子と水分子が水素結合という比較的弱い結合で簡単に結びついたり放れたりする性質がありますので壁の中に入った水蒸気がグラスウールなどと違いCFと気体分子のまま結合するので壁内結露は起きにくいのです。30%の吸湿性能だとしても55Kg/m3の密度で吹き込んであれば30坪の家でもCF総重量は約1000kgになるので300kgの水蒸気を抱えてくれます。一升瓶で167本分に相当しますが、これだけの水分がCFに入っても気体として入っているのだから湿った感じはしません。

 実際は木材の成分はセルロースが50%、リグニンなどが50%でセルロース部分のみが吸湿しますのでセルロース100%ですから30%×2倍の60%の吸湿性能があります。秋田高専の山本里見先生の1993年実験レポートによりますと69.8%になったところで湿った感じを得たとあります。大変な蓄湿容量です。

  つまりそれだけの吸・放湿能力があるので透湿抵抗の小さい石膏ボードの上には透湿を妨げない素材を考えれば良いということになります。だからビニールクロスを貼ったりしては意味がなくなります。紙などのクロスでないとだめなのです。珪藻土などは調湿性を期待されて使われることが多いですが、CF断熱を施工した家はその必要はなく臭いを吸収する作用や仕上げのテクスチャーに期待することなどで選択されれば良いことになります。

 よく霧吹きでシューシューと水を染み込ませて壁材などの吸湿性能を見せていることがありますが、あれはスポンジに吹いて染み込ませているのと同じことです。つまり自由水のみをイメージして壁にスポンジを貼ったのと同じことを見せているわけです。肝心なのは空気中の気体である水蒸気がCFと分子結合して結合水となることなのです。

  CF断熱の家に住まわれている施主の方々のご感想では、梅雨時などに外がジメジメして晴れて蒸し暑い日でも室内はカラッと蒸し暑くない(湿気が吸湿されている)や、冬暖房時でもカラカラにならず居心地良く家族が風邪をひかなくなった(湿気が放湿されている)、という例もあります。他の断熱材ではこの吸放湿性はありません。

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